Netflixで配信中のドラマ『ラチェッド』は、名作映画『カッコーの巣の上で』に登場した精神科病院の冷徹な看護師長ラチェッド誕生の秘密に迫る前日譚シリーズ。『アメリカン・ホラー・ストーリー』などを手がけるライアン・マーフィーがショーランナーを務める、カラフルかつグロテスクでゾクゾクする物語は、コワすぎる! けれどグイグイ引き込まれてしまいます。
そんなドラマの魅力のひとつが、ラチェッドをはじめとする強烈キャラの女性たち。演じる女優陣をチェック。
サラ・ポールソン(ミルドレッド・ラチェッド役)
『ラチェッド』では主演と製作総指揮も務めているサラ・ポールソンは、『アメリカン・ホラー・ストーリー』にはシーズン1から出演し、『アメリカン・クライム・ストーリー/O・J・シンプソン事件』では主席検察官のマーシャ・クラークを演じエミー賞、ゴールデングローブ賞、SAG賞を受賞した、ライアン・マーフィー作品の常連です。

2018年、ライアン・マーフィーがハリウッド・ウォーク・オブ・フェイムに星を刻むセレモニーにて。左から、ジェシカ・ラング、サラ、ライアン・マーフィー、グウィネス・パルトロウ、ブラッド・ファルチャック。Kathy Hutchins / Shutterstock.com
そんなサラが『ラチェッド』に出演したきっかけはライアン・マーフィーからのオファー。しかしすぐにイエスと言ったわけではなかったことを英紙『The Guardian』に語っています。「ライアンが電話で“これをやりたい?”って私に尋ねたの。でも私はやりたいかどうかわからなかった」というサラ。というのも、その時点で2シーズン製作することが決まっていたからで、ひとつのキャラクターを長く演じることに恐怖を感じたのだとか。
さらにライアンからはエクゼクティブ・プロデューサーも打診されたそうで、「やったがことなかったから、その準備が出来ているかどうかわからなかった」と不安いっぱいだったよう。
ところが、恐怖心がサラの背中を押すことになったとのこと。自分自身を「とても神経質で不安になりやすいタイプ」で「一般的に恐怖心の強い人間」だというサラは、実生活ではコンフォートゾーンから出ることを避けているのだとか。ところが出演作は『ラチェッド』をはじめとして、ホラー作品が数多いのは「自分でもヘンだと思うけれど、やるのがコワイと感じたら、ほとんど強制されているような気分になって、ほかにチョイスがないと思ってしまう。仕事となると“よこせ!”ってなる」と自己分析。
また、ミルドレッド・ラチェッドについては「彼女をヴィランだと思わない。製作陣の誰もそう思っていないと思う」と『Entertainment Weekly』で断言。「もし単なるヴィランだったら演じることに興味を持たなかったと思うわ。仕事でも人生でも一面的なもおに惹かれたことはないから」と語っています。
ジュディ・デイヴィス(ベッツィ・バケット役)
ラチェッドに負けず劣らずコワい看護師ベッツィ・バケットを演じているのはオーストラリア出身の女優ジュディ・デイヴィス。映画『インドへの道』で1985年のアカデミー賞主演女優賞、映画『夫たち、妻たち』で1993年のアカデミー賞助演女優賞にノミネート。1992年に『風に向かって』、2002年に『ジュディ・ガーランド物語』でゴールデングローブ賞テレビ部門ミニシリーズの主演女優賞を受賞した経歴の持ち主です。
エンタメ業界で40年以上に及ぶキャリアを持つジュディですが、米『Hello!』によると、10代の頃、バンドのシンガーとして日本にいたことがあるそう。「逃げ出したわけではないけれど、ドラマーの友人がいたので学校をやめて彼と一緒にバンドに入ったの」「その後、彼がドラマーの仕事で日本に行った。私はオーストラリアのパースにいたんだけど、彼から女性シンガーが必要だけど、興味ある? というメッセージが来て、飛行機に飛び乗った。彼と台北であって、日本に行った。逃げたワケじゃないのけど、お金がなかったし、仕事もなかった。そんなに払ってもらえなかったけどね」と振り返っています。
その後、1970年代にエンタメ業界に入ったジュディ。「セレブになりたいと思ったことはない。私の人生をリードするのは仕事。その逆は望んでいない」語っています。
ソフィー・オコネドー(シャーロット・ウェルズ役)
ドラマのなかで、強烈なインパクトを残すキャラクター、シャーロット・ウェルズを演じているソフィー・オコネドーは、イギリス出身。2014年に『ア・レーズン・イン・ザ・サン』でブロードウェイデビューし、トニー賞受賞。2004年『ホテル・ルワンダ』でアカデミー賞助演女優賞にノミネート。2010年に大英帝国勲章第4位OBE、2018年に第3位のCBEを叙勲しています。
そんなソフィーが演じるシャーロットは、さまざまな人格が入り乱れる複雑なキャラクター。しかしその役柄は、撮影前はしっかり決まっていなかったそう。米『Variety』にソフィーは「ロサンゼルスでライアンにあって、彼はこのキャラクターについて話してくれたけど、撮影を始めてからいくつか変わりました。最初の2〜3エピソードが終わってから、自分のものになり、台本を手にその場その場で行動するようになりました」とのこと。撮影現場で起きていることにリアルタイムでリアクションする楽しくでエキサイティングな機会だったとを振り返っています。