9月20日(現地時間)にロサンゼルスのステイプルズセンターと世界各地のノミニーたちをオンラインでつないで開催されたエミー賞授賞式。『ウォッチメン』が最多受賞、コメデイ部門は『シッツ・クリーク』が独占する結果となった、初めてのバーチャル授賞式の舞台裏を、放送した米ABCエンターテイメントの番組担当役員が米『Hollywood Reporter』に語りました。
それによると、米ABCエンターテイメントの担当役員ロブ・ミルズ氏は「これ以上、満足することはできない。やり遂げたチームをとても誇りに思います。新たな挑戦により、彼らはクリエイティブに考えることが必要になり、よりよい番組を作ることができました」と番組に満足していることを明らかに。
反省点としては、受賞者以外のノミニーたちをあまりテレビに写すことが出来なかったこと。「我々は各カテゴリーの5〜6人のノミニーに、既成概念に囚われずクリエイティブになって欲しいと頼みました。それでアレックス・ボースタインはベルリンのホテルの屋上にベッドを設置したんですよ。みんなとてもクリエイテイブでした。もっと写したかったのですが、どうしたらいいのかわからなかった。放送時間の3時間をすでにちょっとオーバーしちゃったので」と反省の弁。
また、ジェニファー・アニストンがプレゼンターを務めた際、消毒のためジミーが封筒に火をつけ、それが燃え上がるというハプニングがありましたが、そのシーンについても「我々が想像できた以上にうまくいった」と大満足。「封筒はリハーサルでは10回中、9回火がつかなかったんです。私はジェニファーがステージマネージャーから消火器の使い方を習うのも見ていて、彼女も何度か噴射したくなっていたんです。ですから、緊張はしませんでした。すごくうれしかったです」と語りました。
数多くのセレブがリモート参加した一方で、メリル・ストリープ、アラン・アーキン、マイケル・ダグラスは不参加だったとか。「彼らが参加しないことを決めた理由はわかりませんが、ほかの人々はゲーム感覚で参加してくれました」とコメント。
そして防護服のプレゼンターたちが本当にノミニー全員のところに行っていたのかという疑問については「結果は会計士しかわかりません。“1カ所に行けば大丈夫”ということではないんです。なので、彼らは全員の居場所に行きました。大変でしたけれど、初めての大規模なライブ番組でしたから、本当に重要なことでした」と、トロフィーを届ける防護服を着た人々が大活躍したことを明言しました。
視聴者数は低くても気にしない
そうしたさまざまな演出や人海戦術も駆使して行われた初のバーチャルエミー賞授賞式ですが、視聴数は過去最少の610万にとどまったとか。しかし、ミルズ氏は「責任逃れと言われるかも知れませんが、視聴数の低さは気にしてません」とキッパリ。
「私たちはいままでとは異なる世界に住んでいます。かつてのようにみんなで集まってお祝いする時代ではなく、日曜夜にはバスケットボールやフットボールなど、見たいテレビ番組もたくさんあります。でも5年後、10年後に人々は“あれはパンデミックのさなかにジミーがステージに一人でいて、封筒を燃やしたんだったね”とか、今後ビッグになるゼンデイヤが初めてエミーを受賞したんだった”と思い出すでしょう。視聴数は最低でしたが、我々は人々の記憶に残るなにかを成し遂げたと感じています」と自信を見せました。
また、米アカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーのCEOドーン・ハドソンから「気に入った」というメールが来たことも明らかに。「私はエミー賞が行われたことについては、成功だったと誰も同意すると思います。確かにいくつかの学びもありますが」と総括。2021年4月25日に開催されるアカデミー賞に関しては「時間があることは利点だと思います。3月から今までの間に、我々も多くのことを学びました。これから秋、冬、そして来年にかけて何が起こるかわかりませんが、アカデミー賞に取り入れられることは絶対あると思います」と、アカデミー賞への期待をにじませていました。