2016年にFOXニュースで起きたセクハラスキャンダルを映画化した映画『スキャンダル』。シャーリーズ・セロン、ニコール・キッドマン、マーゴット・ロビーというハリウッドを代表する美人女優3人の共演でも話題になっていますが、ニコール演じるグレッチェン・カールソン、シャーリーズ演じるメーガン・ケリーは、実在したFOXニュースの看板キャスターだった人物。今はどうしているのか気になります。
映画『スキャンダル』の元となった騒動とは?
2016年7月6日、FOXニュースをクビにされたグレッチェンがFOXニュースのCEOだったロジャー・エイルズを告発したことで発覚したスキャンダル。
グレッチェンは2002〜2013年までFOXの朝の番組『FOX & Friends』のホストとして活躍したのち、2013〜2016年まで昼の番組『The Real Story』のアンカーを務めたものの、2016年6月に契約が更新されずクビに。
『Refinery 29』によると、グレッチェンは、エイルズが、後ろからでも彼女を見ることができるように振り向くように言い、放送ではセクシーな服を着るよう強く言われ、さらに彼と寝る必要があると言われたと主張。それらを拒んだためにクビにされたと訴えました。そして他のFOXニュースの社員たちもエイルズから同様の扱いを受けたことを告白。そのうち数人はグレッチェンが『Fox & Friends』から追放されてから、グレッチェンが訴訟を起こすことを期待していたと語ったとか。
7月19日に、メーガン・ケリーが10年前にエイルズからセクハラを受けたことを調査員に明かし、エイルズは疑惑を否定しながらも、7月21日にCEOを辞任しました(2017年5月18日に77歳で死去)。グレッチェンはエイルズが辞任したことを受け、FOXニュースの親会社20世紀FOXと和解。和解金は2000万ドル以上と言われています。
その後のグレッチェンは?
FOXニュースでのセクハラ騒動は、映画『スキャンダル』だけでなく、テレビドラマ『The Loudest Voice(原題)』でも映像化されており、グレッチェンは映画ではニコール・キッドマン、テレビドラマではナオミ・ワッツが演じています。
20世紀FOXとの和解における秘密保持契約により、過去の詳細について話すことは禁じられているグレッチェン。訴えた当初は、これでキャリアは終わりで、何年も家に籠もって泣いていることになると思ったと『LA Times』に語っています。しかし、実際は多くの女性たちが進み出て、エイルズは辞任することに。そしてグレッチェンは2017年に『Be Fierce:Stop Harassment and Take Your Power Back(原題)』という著書を出版。
さらに、2019年にはテレビ業界にも復帰。『Deadline』によると、2019年にA+EOriginalsとドキュメンタリー番組製作の契約を結んだグレッチェンは3部構成のドキュメンタリーシリーズを製作。司会を務め、そのうちのひとつでは職場でのセクハラや虐待に関するまだ語られていない物語を取り上げたそう。
そんなグレッチェンは「3年前に提訴して以来、勇敢な女性たちが彼女たちの物語を語り、声を上げられない人に声をかけることが私の情熱になりました」と語っており、新たにBlumhouse Televisionがプロデュースするインタビューシリーズに出演する契約を締結。このシリーズは毎回スペシャルゲストをフィーチャーし、#MeTooムーブメントを含む時事問題や物議を醸す問題についてディスカッションを行う内容で、現在、製作中なのだとか。
映像メディアはとてもパワフル
映画『スキャンダル』、ドラマ『The Loudest Voice』への参加は秘密保持条約により禁止されているグレッチェンですが、自分が何も発言できないなかで映像化されることについてどう思っているのかは気になるところ。ドラマ『The Loudest Voice』に関しては、かつてFOXニュースで働いていた数人と話したそうで、そのなかには「PTSDで『The Loudest Voice』のエピソード1は見られなかった」と語った人もいたとか。しかし、グレッチェン自身は「見たわ。何かが私を辛抱させたのね」と、ドラマを見たとキッパリ。
「これらのプロジェクトは素晴らしいと思う。この問題を大きな議論にし続けているから。過去数年間、私について数多くの記事がありましたが、テレビで演じられるのを見た人々は“オー・マイ・ゴッド”となります。映像メディアはまだパワフルです。特にこの問題に関しては。なぜならまだ多くの作り話や誤解があるからです」と語っています。
映画『スキャンダル』は2月21日に日本公開。グレッチェンの告発から始まったスキャンダルが、どのように描かれているのか楽しみです。