スペイン・バスク地方で開催されているサン・セバスティアン国際映画祭に是枝裕和監督最新作『真実』が出品され、是枝監督とジュリエット・ビノシュが公式上映の舞台挨拶に登場しました。
サン・セバスティアン国際映画祭は、ヨーロッパにおいてカンヌ、ベルリン、ヴェネチアに次いで重要な映画祭として注目されているそう。是枝監督は、昨年『万引き家族』で本映画祭に参加し、アジア人初の快挙となる、生涯功労賞に当たるドノスティア賞を授与されており、今年は最新作の『真実』が、その年を代表する作品を上映するパールズ部門へ出品され、ジュリエット・ビノシュとともにフォトセッションと舞台挨拶に出席しました。
舞台挨拶で是枝監督が、「ありがとうございます。こんばんは。こうしてまた新作を携えて、大好きなこの映画祭に帰ってくることが出来て、本当に嬉しく思っております。毎年、ここに来るために、頑張って映画を作っています」とスピーチを始めると、会場ではドッと笑いが起きると同時に、さらなる温かい拍手が。続けて監督は 「この『真実』という映画は、僕が初めて日本の外へ出て、日本語ではない言語で、スタッフとキャストと一緒に作った作品です。去年の秋にパリで撮りました。映画の中に何組もの母と娘が出てきます。その母と娘の関係を重ねあわせながら、映画の最後でちょっとだけ気持ちが軽やかに、温かくなるような、僕にしては珍しい作品になったんじゃないかなと思います。終わった後に劇場を出て、少し遠回りして、歩いて自宅に帰りたくような、そんな作品だと思いますので、楽しんでください」 とにこやかにスピーチ。
ジュリエットは「ママはどこ? ママはどこ?(笑)」と、母役を演じたカトリーヌ・ドヌーヴが居ないことへの冗談からスピーチをスタートし、「カトリーヌ・ドヌーヴと一緒に映画を作ることができ、非常に光栄でした。今夜は残念ながら彼女の姿はありませんが、彼女はいつも私たちの心の中にいます。そして、情熱と温かさと知性を持ち合わせた、素晴らしい是枝監督と共に仕事ができるという素敵な機会に恵まれましたし、さらに、様々な役者たちともその現場を共有することが出来ました。12年ぐらい前から、映画祭などで見かけるたびに監督を追いかけてきて、ようやくこの作品の撮影に至り、夢が叶いました。またの機会があるかもしれませんが、まずは監督は、少し大変なこともあったであろうパリを一旦離れて(笑)、日本に帰ってバカンスをとらなくてはいけませんね。みなさん、良い夜をお過ごしください」と、是枝監督との仕事を振り返り、その想いを明かしました。
『真実』
10月11日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
配給:ギャガ
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