26日、レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットの初共演でも話題のクエンティン・タランティーノ監督最新作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の記者会見が行われ、レオナルド・ディカプリオとクエンティン・タランティーノ監督、プロデューサーのシャノン・マッキントッシュが登場しました。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は、1969年のロサンゼルス。ハリウッド黄金時代の最後の瞬間を監督が、郷愁とリスペクトを込め、5年の歳月を費やして脚本執筆した作品。シャロン・テート事件という史実に基づきながら、実在の人物とレオ演じるリック・ダルトン、ブラッド演じるクリフ・ブースという架空の人物が登場します。
タランティーノ監督は、「当時はハリウッドの街、業界が変わっていった時代。シャロン・テート事件を軸にしたらおもしろい作品になるだろうと思いました。実在の人物と架空の人物を組み合わせるのは、13〜14歳の頃、そういう物語を読んだことがあったのです」と、アイデアの源は子どもの頃にあったことを告白。
ブラッドとレオという大スターを起用した理由を聞かれると、「彼らがキャラクターにピッタリだったというのはありますが、私が彼らを選んだというより、彼らが私を選んでくれたんです。彼らの元にはあらゆるオファーが来ます。そのなかから私の仕事を選んでくれたわけで、とてもラッキーでしたし、ふたりと仕事をしたことがあったのもラッキーでした」と、語りました。
一方、レオは出演を決めたのは「役にひかれたからです」と語り、さらに、「リック・ダルトンは50年代にテレビの西部劇で活躍したわけですが、今は悪役を演じなければならない、彼としては考えられないような状況になっているわけです。映画に出演する際、役についてはいつも徹底的にリサーチしますが、今回のリックはこの業界の中心じゃなく隅っこの方にいて、落ちぶれている。変わっていくハリウッドで取り残されている。僕もブラッドもキャリアとしては成功している方だと思いますが、業界は見ているし、ふたりの境遇もよくわかります。ふたりはお互いが必要で依存し合っている関係です。そんなふたりがどんな映画に出て、どんな関係か、バックグラウンドを監督が用意してくれていたんです。おかげでその時代の精神を理解しながら撮影できました。ブラッドもそうだと思いますが、出演できてよかったです」と、役作り、ブラッドとの共演について語りました。
リックというキャラクターを作るにあたっては、1人ではなく複数の俳優たちからインスピレーションを受けたというタランティーノ監督。「50年代、テレビには多くのスターがいましたが、この新しいスターたちが1960~70年代の過渡期にどうなったかというと、テレビから映画に転身して成功した人たちは、スティーブ・マックイーン、クリント・イーストウッド、ジェームズ・ガーナーです。でも、そうではない俳優たちがたくさんいたわけです。1人を選んだわけじゃなくて、いろいろな人々のいろいろな部分からアイデアを得てリックを作りました」と説明。
レオは「役作りもたくさんの俳優を参考にしました。私たちが愛した作品に貢献した多くの俳優の多くが忘れされています。リックを通して、そうした人々を知ることができました。リックはハリウッドで仕事ができて、存在できているだけで、ラッキーなんだという気持ちになりました。知ってよかったと思いました」と語りました。
そんなふたりが、自分にとって奇跡だと思うこととは? タランティーノ監督は、「映画で仕事ができていることです。9作品も映画を撮って、日本でも私のことを知ってくださる人がいる。1996年にはビデオストアで働いていたのです。仕事として映画を作っているのではなく、アーティストとして作っていることができる。このことは忘れないでいようと思っています」と感慨ぶかげ。
レオも「クエンティンの言うことに全面的に賛成です。私はLA育ち、ハリウッドうまれです。俳優でいることが大変なのか知ってます。この業界は世界中から人々がくる夢の場所ですが、夢を叶えられないのが現状です。私はハリウッドにいたので、学校の後、オーディションを受けに行くことができました。仕事がある俳優であり、自分で選ぶことができることが奇跡ですね。俳優として仕事ができているのは本当にラッキーですし、この業界で成功できていることは本当にミラクル。99.9%の人は仕事がないというのが現状なんです」と、ハリウッドの光と影についても明かしてくれました。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
8月30日(金) 全国ロードショー
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント