アスガー・ファルハディ監督が最新作『誰もがそれを知っている』について語ったインタビュー映像が解禁されました。
この作品は、ファルハディ監督が母国イランを離れ、初となるオールスペインロケで挑んだ野心作。15年前のスペイン旅行で目にした、壁に貼られた行方不明の子どもの写真に着想を得て以来、ずっと温め続けてきた物語について「すべてはスペインで始まったことだから、構想を練る時にスペインは切り離せなかった。他の国でこの作品を撮ることはできないよ。現実に基づいてるからね」と語ります。
また、この作品では“スペインで最も有名な夫婦”ペネロペ・クルスとハビエル・バルデムという、スター俳優たちの豪華キャスティングが実現。数年来の友人である彼らは、母国スペインを舞台とする本作の企画がスタートした4年前から監督への協力を惜しまず、キャラクターは当て書きで執筆されました。ペネロペは演じたラウラ役について「間違いなく、今まで演じた中で一番複雑なキャラクター」と語っていますが、ふたりとの仕事について監督は、「最高の経験になった。彼らは几帳面なんだ。毎日撮影現場に来ると必ずと言っていいほど役柄についてたくさん質問してきた。あらゆることに気を配り、実に正確なんだ」と、ラテン系俳優のおおらかなイメージを覆す2人の強いプロフェッショナリズムを明かしました。
また、実生活で夫婦であることを演出に生かしたかという点については、「特に指示してないよ」と記憶を辿りつつ、「物語の序盤で2人を見た観客は、(役柄上は幼なじみであり)恋人同士ではないのにある関係性を感じ取れる。そうすることで物語が進行しやすくなる」と、その巧みな演出手腕を感じさせる意図を語りました。そして、「(本作のサスペンス要素は)映画の別次元の層に到達するための道具であり手段だ」という意味深なメッセージでインタビューを締めくくっています。
スペインの故郷で久々に再会した家族と幼なじみ。しかし、結婚式で起きた娘の失踪をきっかけに、隠していたはずの真実をめぐり家族の秘密と嘘がほころび始めます。ファルハディ監督の持ち味である濃密な脚本・演出と、新たに加わったキャストのスター性の融合は、まさに新境地となり、昨年の第71回カンヌ国際映画祭でオープニングを飾り絶賛の嵐となりました。カンヌと同日に劇場公開を迎えたフランスでも大ヒットを記録しました。
『誰もがそれを知っている』
6月1日(土) Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開
配給:ロングライド
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