来月最終シーズンの放送がスタートする大人気ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』でデナーリス役を演じているエミリア・クラークが、この8年間に2度も大手術を受けていたことを明かしました。
エミリアは『The New Yorker』に寄稿したエッセイで、自身の闘病について初告白。『GOT』のシーズン1の撮影を終えた後の2011年2月に、トレーナーとロンドンでワークアウト中に激しい頭痛を感じたことが始まりだったと告白。
「トレーナーが私にプランクポジションをとらせた時、突然、脳がゴムバンドで締め付けられるように感じたの。痛みを無視してやり過ごそうとしたけれど、無理だった。トレーナーに休みたいと伝え、這うようにしてロッカールームにたどり着き、トイレに行ってひざまづいて、激しく吐いたわ。その間も、ズキズキと締め付けるような痛みがどんどんヒドくなっていった。ある段階で脳がダメージを受けているということはわかったわ」と発病した瞬間を生々しく振り返りました。
そんなエミリアを見つけた女性がいて、次にエミリアが覚えているのは救急車のサイレンの音、エミリアの脈拍が弱くなっているという声が聞こえ、さらに誰かがエミリアの電話から両親に電話をかけ、病院のERに来るように伝えていたのが聞こえたそう。
そこで病院でMRIをとったところ、くも膜下出血という診断がでたとのこと。「命にかかわるタイプの脳卒中で脳を取り巻くスペースに出血することで引き起こされるの。私は動脈瘤が破裂していた。後でわかったのだけど、くも膜下出血の患者のおよそ3分の1は即死またはすぐに死んでしまう。生き残るには動脈瘤を閉じる緊急処置が必要で、2度目の致命的な出血が起きるリスクが高い。生き残るには緊急手術が必要だったけど、何の保証もなかったわ」。
その時、エミリアは24歳で、子どもの頃の夢が叶ったと感じ、多忙を極めていた時期。脳の手術をしている時間なんてないと思ったけれど、手術を受けることに同意。低侵襲手術と呼ばれる、頭蓋骨を開けずに行われるも手術を受けたのだとか。
しかし目が覚めた時、ガマンできない痛みがあったとのこと。その後4日間をICUで過ごし、1週間半を回復にあて、手術から2週間後に経過のチェックとなったけれど、結果は芳しくなく、エミリアは自分の名前も思い出せない状態。「脳が負ったトラウマの結果、失語症と呼ばれる状態に陥っていたの。最悪の時だった。すべてをやめてしまいたかった。メディカルスタッフに死なせてと頼んだわ。私の仕事は私の人生の夢のすべてで、言葉やコミュニケーションが中心なのに、それなしでは私は失われたも同然。私はICUに戻されたの。1週間後に失語症は過ぎ去って、喋れるようになった」と、一時は絶望の淵に追い込まれたことを告白しています。
そして入院から1カ月後に退院し、仕事復帰できたエミリアですが、実は入院中にもうひとつ、小さめの動脈瘤が脳の別側にあり、破裂する可能性があることも告げられていたそう。しかし、そのまま大きくならない可能性もあるとのことで、注意深く様子を見ることに。ただ、まだ頭痛もあったので、エミリアはドラマのボスたちに自分の体調についてすべて話すも、公には公表しなかったのだとか。
とはいえ、ドラマのプロモーション中も、痛みがあったので、インタビューの間にモルヒネを飲まなければならず、シーズン2の撮影がスタートしてからは、撮影初日は自分に「大丈夫。20代だし、大丈夫」と自分に言い聞かせ、なんとか疲労で倒れる前にホテルに戻るという状態。撮影はがんばったけれど、シーズン2はエミリアにとっては最悪で、デナーリスが何をしているのかわかっていなかったとか。「本当に正直なところ、毎日毎分、自分な死ぬということを考えていた」と、大変な状況だったことを明かしました。
しかし、仕事は順調で2013年にはブロードウェイの舞台にも出演したエミリア。定例になっていた脳のスキャンに行ったところ、動脈瘤が2倍のサイズになっており、対処しなければならないことが告げられたのだとか。
そこでマンハッタンの病院で手術を受けることに。手術は前よりラクだと言われていたけれど、手術を終えて起こされた時、痛みで悲鳴を上げたほどで、なんと手術は失敗。「私は大出血していて、ドクターたちは再手術をしないと命があぶないことをあかしたわ。今回は彼らはオールドスタイル、頭蓋骨を開けて、私の脳にアクセスしなければならなかった。手術はただちに行われた」。
その後の回復も最初の手術より大変だったというエミリアは「病院でまた1カ月過ごし、ある時点で私はすべての希望を失った。人の目を見ることができなかったし、ヒドい不安、パニックアタックもあった。心が人々をブロックして、生きられないと確信していたことを覚えてる」。
しかし、幸いにして、身体は着実に健康を取り戻し、2度目の手術から数年経ち、「今は100%に回復した」というエミリア。このたび、数年の準備期間を経て、脳の損傷、脳卒中から回復している人々のための資金を集める「SameYou」というチャリティを立ち上げたことを発表しました。
「スローンズが終わりを迎えることはとても満足で、とても幸運なこと。ここでこの物語の終わりを見られるのはとても幸せだし、この物語の終わりは次にやってくることの始まりだから」。
ドラマのシーズン2以降を見てても、そんな大病と闘っていたとは、想像もできませんでした。そうした病を乗り越えたエミリアと共に、最終シーズン迎える『ゲーム・オブ・スローンズ』。そうした背景を知ると、ますますラストに向けてドラマチックに気持ちが入ります。