15日、来日中の『アリータ:バトル・エンジェル』のキャスト、監督、プロデューサーが出席し、バーチャル・ユーチューバーのキズナアイさんがMCを務めるイベントが行われました。
ステージに登壇したローサ・サラザール、クリフトフ・ヴァルツ、ロバート・ロドリゲス監督、プロデューサーのジョン・ランドーはキズナアイさんに興味津々。ローサは「家に連れて帰りたいわ」、イド博士役のクリストフは、突然、「キズナアイさんは、婚約してますか?」と、『アリータ:バトル・エンジェル』と関係ない質問をするなど、目を奪われている様子でした。
このイベントは、ユーチューブクリエイターの皆さんに、観る者の心を動かす映像製作の極意を伝えるもの。
まず、キズナアイさんから、見る人を没入する世界観をどうやって作るのかと聞かれたロドリゲス監督は、「リアルな世界を作るカギは、きちんと演じられる女優がいることがまず大事。そうすることでキャラクターがリアルになるし、取り巻く世界もリアルになります。ジェームズ・キャメロンの映画はすべて、リアリティに基礎を置いています。なのでロケもセットもリアルなものを作りました。それにより世界観、キャラもリアルに感じられます。アリータがいるのは、ディストピアのような世界。そのなかにいることでアリータはさらにかわいらしく、戦士らしく、愛らしくなるのです」とコメント。
続いて、出来上がった映像のアリータを観た感想を聞かれたローサは「最初はオーマイガッよ!」とビックリしたことを告白。「自分の性格や肉体的な特徴はそこに投影されているので、2人でひとりの人間を作りあげている感覚。CGIのアリータは車で、私がドライバーという気持ち。ハートはすべて注入しました」と語りました。
そして、日本で生まれたアリータが世界で愛される理由は? という問いにジョン・ランドーは「初めて、木城先生の作品を見た時、とても普遍的な話を語るチャンスだと思いました。つまり若い女の子が自分を発見していく物語であり、自分のなかに力があり、それで周囲の人、世界を変えることができると気づくのです」とアリータの魅力を説明。そしてキズナアイさんが世界的なAIになるためには、「今のあなたのままでいてください。自分を変えなくていい。それがこの映画のメッセージでもあります。自分を変えなくてもありのままのあなたを愛してくれる人がいるし、それを誇りに思うでしょう」とアドバイスをおくりました。
会場にあつまったユーチューバーの方からは、絵コンテ作りにどのぐらい時間をかけているかという質問が飛び、ジョン・ランドーは「絵コンテはありますが、そんなに作りません。より大切なのは演技で、それを引き出すにはどれだけ自由があるか。ロバートがそこは得意で、現場で彼女の演技の瞬間を捉えて構図を作っていくのです。絵コンテには縛られず、ストーリーに対してオープンでいたいと思っています」と、意外にも絵コンテは少ないという意外な事実を公開。
また、どうしたらハリウッドのフィルムメーカーになれるか? という質問に対し、ロドリゲス監督は「私は自分をハリウッドのフィルムメーカーと思っていないし、あなたにもなって欲しくない」と意表をつく答え。「ジェームズ・キャメロンも私も何もないところからスタートしました。ゴムやアイスキャンデーの棒などをかき集めて映画を作ることから始めました。私は今もテキサスにいて、自分と似た考えの人たちと自分の映画コミュニティを作って、映画を作っています。自分たちの手で、自分のスタジオで、自分のピュアな部分で作りたいものを、リアルなものを作っています。ハリウッドにはそういう人がもっと必要です。まだ多様性が足りません。みなさんのなかには自分のハリウッドを作る力があるのです。ハリウッドに入るのではなく、自分のハリウッドを作るにはどうしたらいいか、ということを考えて欲しいです」と力説していました。
『アリータ:バトル・エンジェル』
2月22日(金)全国ロードショー
配給:20 世紀フォックス映画
© 2018 Twentieth Century Fox Film Corporation