映画

『ビール・ストリートの恋人たち』、こだわりのセット美術が堪能できる場面写真が解禁

バリー・ジェンキンス監督は『ビール・ストリートの恋人たち』では、今から50年前のNY・ハーレムの生き生きとした姿の再現に挑戦。

70年代NYのイメージによく使われる茶やグレー中心のくすんだ色味ではなく、ロマンティックなラブ・ストーリーの感情の動きにぴったり寄り添う、情熱的でハイコントラストなカラーパレットを用意しました。ジェンキンス監督はインスピレーションを、ライフ誌、ヴォーグ誌で初の黒人専属カメラマンであり、世界最高峰の写真家集団マグナム・フォトにも所属したゴードン・パークスや、当時のNYのストリートの写真でよく知られるジャック・ガラファローらの作品から得たそう。「撮影の準備段階においては僕と衣装、美術部門でじっくりと案をねった。一貫したデザインや色彩を、衣装とインテリアなどすべてに使いたかった。主人公のティッシュを、鮮やかな世界や、時には色あせた世界の中に置いていったんだ」そして、「ボールドウィンの文章と、ハーレムの街へ敬意を示すためにも」との熱い思いから、撮影は2017年10月より、実際に映画の舞台となるNY・ハーレムで行われました。

美術担当のマーク・フリードバーグは、これまでジム・ジャームッシュ作品やウェス・アンダーソン作品の美術監督も務めている人物。ニューヨークを舞台にした作品では『脳内ニューヨーク』や昨年公開『ワンダーストラック』など、この魅力的な大都市の様々な顔をスクリーンの中で息づかせてきました。そんなフリードバーグは、「70年代のハーレムで主人公達が直面していた経済的な状況は、若きカップルであるティッシュとファニーのラブ・ストーリーを語る上で重要な文脈となっていた。ティッシュが生まれ育ったリヴァーズ家と、すでに独り立ちし、アーティストとして生きるファニーが暮らす家、それぞれに明確なビジョンを持って美術に落とし込んでいった」と語ります。

「母シャロンの愛情に溢れるリヴァーズ家には、家庭的豊かさがある。ただ、居住年数20年くらい経つが資金不足でリフォームもできていないという経済状況も表す必要があって、複雑だった」そこでフリードバーグは、改装工事を行うためちょうど空き家になっていたハーレムのアパートメントを見つけ出し、リヴァーズ家の内装をイチから思い描いた通りに作り上げるという大胆な方法をとりました。

インテリアには、あたたかみのある優しい光を基調とした照明にカラフルな家具、使い込まれて少しくたびれた様子のソファ、時代感ある花柄の壁紙やリアルなキズが映し出されおり、70年代の黒人家庭の、決して裕福ではないものの、親しみと愛情を感じさせる生活空間を実現しています。

一方、ファニーの住むアパートメントは、当時は移民が多く暮らしていたウエストヴィレッジのバンク・ストリートの地下という設定。22歳の駆け出しのアーティストが生活する現実味をだすため、リサイクルショップで買えるようなヴィンテージの家具が揃えられ、壁にはあえてヒビを入れるというこだわりも。このアイディアを実践したフリードバーグに対し、ジェンキンス監督は、「当時のヴィレッジにある欠陥住宅なら若いアーティストでも借りられるだろうと考えてくれた。このキズによって、ヴィレッジに一世紀以上も存在しているようなアパートに見えてきたんだ。映画では誰も気づかないかもしれないけれど、マークにとっては必要不可欠なキズだったんだよ」と美術が映画の世界観に与えた影響の大きさを明かしています。

今回解禁された写真の中には、古いバスタブに板を乗せダイニングテーブルとして使っている様子も写されていますが、これも彫刻家として生きるファニーらしい、貧しいながらも創造的な人物像を感じさせる細部へのこだわり。

その他、友人ペドロシートが働くスペイン料理店のレトロで華やかな壁紙やランプシェード、二人が相合傘で歩く雨の路地裏に停まる70年代らしいクラシックカー、若い二人と友人が囲む質素だが楽しげなご馳走の並ぶ食卓など、随所に光る監督とフリードバーグの美意識を感じさせるカットも見逃せません。

『ビール・ストリートの恋人たち』
2月22日(金)、TOHO シネマズ シャンテほか全国公開
配給:ロングライド
©2018 ANNAPURNA PICTURES, LLC. All Rights Reserved.

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