先日発表された第91回アカデミー賞ノミネーションで、脚色、助演女優、作曲の3部門でノミネートされた『ビール・ストリートの恋人たち』のバリー・ジェンキンス監督のインタビュー映像が解禁されました。
1970年代、NYハーレムに生きる若い二人の愛と信念の物語を、圧倒的な映像美と叙情的な音楽で描き出した『ビール・ストリートの恋人たち』。1974年に出版された、作家ジェイムズ・ボールドウィンの「ビール・ストリートの恋人たち」(早川書房刊)を原作とした本作は、世界中を虜にした前作『ムーンライト』撮影以前より、ジェンキンス監督が長年、映画化を待ち望んでいたもの。
実は大学生の頃からボールドウィンのファンだったという監督は、「この原作の2つの表現に感銘を受けたんだ。ティッシュとファニーの間にあるロマンスや愛の描写とアメリカ社会への素直な批判だ」と原作の魅力を分析。「彼が伝えた多くの事は真実であり、確かなことで、彼が住む世界を正確に描写していた。この小説が書かれた後も現実は何も変わっていない。25年 45年 50年後も彼が書いてきた問題が残っていたら悲しいことだ。だから この問題を再び世の中に訴えかける時が来たんだと思う」と、今もなお、アメリカで続く差別と、ボールドウィンの原作を重ね合わせながら、今だからこそ映画化を熱望した本心を吐露しています。
最も重要なキャラクターである主人公のカップル、ティッシュとファニーを演じたキキ・レインとステファン・ジェームスについては、「彼らはこの物語の核なので、かなり広範囲に探したよ。2人を演じるエネルギッシュな若い俳優をね」と語り、キャスティングにはじっくり時間をかけていたことが明らかに。その甲斐あってか、「キキとステファンは若手で、特にキキは新人だ。彼らが演技にもたらすエネルギーは新鮮で、彼らの愛が重要であることがうまく伝わっていると思う」と若手キャストならではのフレッシュさと初々しいエネルギーが映画にもプラスに作用したことを絶賛しています。
最後に、この映画を見た観客に「愛と希望を感じ、楽観的でいてほしいと願うよ。愛や家族が苦難を乗り越える助けになるってね。現在、世界中の多くの社会が僕たちを結びつける何かや結束する場所を求めている。きっと、家族と愛の力が嵐を乗り切るのを助けてくれると感じてもらえるといいな」と締めくくりました。
彼が生み出した新たな恋愛映画の金字塔は見事、本年度アカデミー賞において3部門のノミネートを果たし、喜びのコメントも到着!「尊敬する偉人たちの仲間入りができて本当に光栄です。その上、ジェイムズ・ボールドウィンの名前と功績を、アカデミーに残せたことに胸がいっぱいです。『ビール・ストリート』ファミリーを代表して、アカデミーに尽きない感謝を。再び私たちを、そしてボールドウィンを認めてくれてありがとう」
ジェンキンス監督はアカデミー賞授賞式の直前、バレンタインとも重なる2/13(水)・14(木)の2日間で、“日本の観客にこの映画を伝えたい“という熱い思いを胸に、緊急初来日が決定しています。(※予告なく来日スケジュールの変更・キャンセルになる可能性があります)
【バリー・ジェンキンス 監督プロフィール】
1979年11月19日生まれ、アメリカ・フロリダ州マイアミ出身。フロリダ州立大学で英文学の文学学士と映画の美術学士を習得後、ロサンゼルスに移り住み『Medicine for Melancholy』(08・未)で長編デビュー。作品はニューヨーク・タイムズ紙のA・O・スコット選で2009年の最優秀作品に選ばれた。長編2作目となる『ムーンライト』(16)で、第89回アカデミー賞において作品賞、脚色賞、助演男優賞の3部門を受賞。黒人だけのキャスト・監督・脚本による作品での作品賞受賞は史上初となり、まさに歴史を変えた一本となった。
『ビール・ストリートの恋人たち』
2月22日(金)、TOHO シネマズ シャンテほか全国公開
配給:ロングライド
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