リュック・ベッソン監督によるSF超大作『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』の公開を前に、観客を壮大な世界へ導く冒頭映像が解禁となりました。
人類が昔から夢見た宇宙への進出。その歴史を思い出すかのように、本作は1975年のアポロ号のカプセルとソ連のソユーズとのドッキングの映像から始まります。この歴史的瞬間をきっかけに、宇宙ステーション・アルファは各国の宇宙船がドッキングし、2031年の未来では重力制御までできるようになっています。ハッチが開くたびに各国の宇宙飛行士が歩み寄っては固い握手を交わし、宇宙への進出が加速した時代。そして、2135年、ついに宇宙ステーションに地球外生命体がやってきます。巨大な宇宙船に乗った宇宙人(コータン・ダフーク)との初遭遇でも、人間と同様に友好の握手は続き、何百年もかけて、宇宙ステーション・アルファはもはや地球上の人類のためだけではなく、全宇宙にとって主要な場所となっていくのです。
このほとんど言葉を伴わないシークエンスのためにベッソンが選んだのは、デヴィッド・ボウイの独創的な曲『Space Oddity』。この曲の歌詞も相まって、冒頭のシーンだけで観客の心をとらえ、現代の世界から彼が描く壮観な未来へと観客を誘っていきます。ベッソン監督は、曲の起用理由について「本作の脚本執筆中に、車の運転中に「Space Oddity」が流れたんだ。僕は映画のシーンが頭に思い浮かんでいたから、『オープニングシーンにピッタリじゃないか』と思った。ボウイとは付き合いが長くて、『アーサーとミニモイの不思議な国』でも声優をお願いしたことがあったからね。天国の大きな劇場で『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』を3Dで観ているって聞いたよ(笑)」と茶目っ気たっぷりに語っています。
このシーンに凝縮されているのは、物語への導入だけではありません。繰り返される宇宙飛行士や宇宙人との握手のシーンにベッソン監督が夢見る未来が詰め込まれています。宇宙ステーションにいる人間たちが笑顔と握手で出迎えるが、握手の文化がない日本人は代わりにお辞儀で応え、宇宙人と握手をすれば粘着質な物質が手に付いてしまったりします。そこに言葉は不要。言葉が通じ合わなくとも、お互いを受け入れていくことで、宇宙ステーション・アルファは大きくなっていきます。これこそリュック・ベッソン監督が描きたかった“多様性”が凝縮されています。
また、世界連邦大統領として出演するルトガー・ハウアーの存在も見逃せません。ベッソン監督は「『ブレード・ランナー』の大ファンだからお願いしたかったんだ。今回は(レプリカントではなく)人間として登場したら面白いじゃないかと思って」と起用理由も明かしています。
『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』
3月30日(金)全国ロードショー
配給:キノフィルムズ
© 2017 VALERIAN S.A.S. – TF1 FILMS PRODUCTION